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シネマクティフは「映画館で映画を鑑賞するたのしさを伝える」ユニットです

セールスマン
(鑑賞後の方向け)


makochin_review
アカデミー賞外国語映画賞
を受賞した本作。

監督と主演女優が
トランプ大統領の政策に異を唱え、
授賞式をボイコットしたことは
記憶に新しいですね。

そんな状況下での快挙でしたので、
本作のイメージは作品の内容に先行して、
ある種の希望的雰囲気に
包まれていたように感じます。

しかし実際に観るとその内容は、
人と人が分かり合えないことを
諦念をもって捉えた、
むしろ絶望的雰囲気の作品でした。

ラナの身に起こった事件を、
夫婦として復讐に燃える
夫エマッド。

しかしそれは独りよがりな考えで、
反対にラナはこの一件を
過去に葬り去ろうと努めます。

夫婦間の溝は
物語が進むにつれ深まっていきますが、

この作品ではさらに
周囲の人間との“溝”、
加害者と被害者の
埋まることがない“溝”
も強調していました。

ラスト、
ラナとエマッドがそれぞれ鏡に向かって
己を見つめ沈黙するショットが印象的です。

残された道は、
化粧をする(自分を殺す)
ことだけなのでしょうか。

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