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シネマクティフは「映画館で映画を鑑賞するたのしさを伝える」ユニットです

ジュリエッタ
(鑑賞後の方向け)

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ayumi_review

 

 

 

アルモドバルらしく
計算しつくされた色彩美。
冒頭の赤から魅了されました。

昏睡、母と娘など
これまでにアルモドバルが
扱ってきたテーマが
再び取り入れられています。

しかし娘の失踪に
スポットが当てられるのか
と思いきや、

今作で濃密に描かれているのは
母であるジュリエッタの変化でした。

若きジュリエッタが
電車に揺られている様子は、
人生における時の経過の速さであり、
男性との脆い関係性を表しているよう。

狭い範囲でしか
物事を見ていない
(見えていない)人物が、

何かを失うことで
はじめて見えてくるものがあり、
それは母から娘に受け継がれている
人生の歩み方のような気もしました。

特にジュリエッタは、
生きる糧となるものを
無理やりにでも見つけ、
それに縋ることでしか
生きられない人物。

この作品では誰が悪い、
とは決められず、
罪も本人の意識の問題
ではないかと感じました。

それが
「赦し」の見える
ラストにも繋がってきますね。

makochin_review

 

 

 

いかがでしたか。

常套手段かとは思いますが、
ジュリエッタをまず、
秘密を抱える女性として
観客に提示することによって、

その後の回想シーンを
ミステリアスなものにしています。

大きな謎が与えられたことにより、
緊張感が絶え間なく続く上、
その謎が徐々に
明らかになっていく様は

パズルのピースが
埋まっていくようで、
爽快感がありました。

またミステリーとして
この作品を描くことは、

物語の内容、
ジュリエッタとその子供につきまとう
不思議な因縁と
共振しているかのようで、
アルモドバルの巧さを
見た気がします。

色彩感覚は流石の一言ですが、
(フィルムよりもむしろ
デジタルのパリッとした質感が
監督が重宝がる赤に
マッチしていると今回思いました)

絵画や顔(特に家政婦の!)も
重要な役割を果たしています。

これらが不穏な空気を
煽り続けていて、
ついにはその家政婦が
旦那のジャージを着て去った時、

何が起こるかは
想像に難くないのではないでしょうか。

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いかがでしたか?

映画好き待望の
アルモドバル新作は
母と娘を巡る物語でした。

いつも通りの
鮮やかな”枝葉”(色等)
に彩られた作品でしたが、

私(ペップ)
いつも申しておりますように、
“幹”(物語)を重視するタイプなため、
高評価とはならずでした。

が、
もちろん色の使い方や
主演俳優の”スイッチ”や

俳優陣の演技
(特に家政婦役の
ロッシ・デ・パルマの存在感!)は
ハイレベルなそれで、

勿論全体としては
面白く仕上がっていました。

そんな作品の中で、
私が特に気になったのが
“音楽”。

とても”過剰”で
“わざとらしく”
感じられたのです。

これについては
パンフレットにある
“アルモドバルの製作ノート”に
おもしろい記述がありました。

音楽を担当する
アルベルト・イグレシアスは
編集済みの映画を観て
「音楽はいらない」と言ったそうです。

これからもわかるように
“難産”だったことは
想像に難くなく、

私が”過剰”と感じたのも
むべなるかなと思いました。

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