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シネマクティフは「映画館で映画を鑑賞するたのしさを伝える」ユニットです

Mommy/マミー
(鑑賞後の方向け)

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本作で最も好きだったのが
Celine Dionの
“ON NE CHANGE PAS”を歌うシーン。

登場人物が揃って
いい顔をするのは
おそらくここが初めて。

ケベック州出身のCeline Dionの
フランス語の楽曲を使用し、

登場人物たちが
「わたしは変わらない」
と歌います。

モントリオール出身の
グザヴィエ・ドラン。
いまや世界中が注目する
監督になりました。

このシーンは
登場人物たちの声でもありますが、
作品づくりに対する真摯な姿勢は
変わらないという
監督の姿のようにも感じました。

間奏に入るところで
スティーブが手を叩き
再び音と映像が動きだす手法は

オーケストラのGP(全員休止)
のようで引き付けられました。

またしても
ドランのセンスが光ります。

私事ですが
このシーンをはじめとして

グザヴィエ・ドランの全作品
を描いたイラスト展

を開催します。

お時間ある方はぜひ!

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本作の監督である
グザヴィエ・ドラン。

じつは10代なかばに
同性愛者であることを
カミングアウトしています。

そういった人たちに対する
風当たりが薄れてきた時代
だとは思いますが

彼自身も周囲の無理解に
苦しみ、戦ってきたことが
作品を観ていると
よく伝わってきます。

今回の作品のテーマは
同性愛ではありませんが

ラストシーンで母ダイアンが
息子を施設に入れたこと
に対して示した態度は

他人の視線や価値観で
がんじがらめになっている人を
多少なりとも救うことができた
のではないでしょうか。

「(息子を)捨てたのではなく、
希望があるからそうした。」

とはっきり言い切った
ダイアンの表情は
力強さと自由を勝ち得た
(しかし痛みも伴います)美しさに
満ち溢れていました。

こういったはっきりとした主張は
過去作ではみられなかったので

ある種の答えを提示している点で
『Mommy/マミー』
記念碑的な作品と言えそうです。

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いかがでしたか?

計算し尽くしたであろう、
ショットの数々は、
色・音・画角が鬩ぎ合う、
芳醇な仕上がり。

それには異論がないですし、
ドランの才気も感じました。

ですが。

「極め」ショットの連続は、
私には抑揚の幅が少なく感じられ、

故に私の感情の起伏も乏しく、
「あぁ…、まぁ…、うん…。」
という気持ちになりました。

例えば、
鋭く落ちるフォークボールを
投げるピッチャーがいるとします。

でも、フォークボールだけを、
連続で投げ続けるピッチャーはいないし、
それではバッターは打ち取れない。

私が感じた違和感は、
そんなピッチャーの投球に出くわした、
ような感じでしょうか。

ここぞ!
という時に投げるのではなく
常に投げ続けられる
フォークボール。

その落差やキレは疑いようがないが、
それが活きるのは直球あってこそ。

にも関わらず、
フォークしか投げないとすれば、
それは己の投球に
耽溺してるだけではないのか?

そんな思いが、
私の中で渦巻いています。

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