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シネマクティフは「映画館で映画を鑑賞するたのしさを伝える」ユニットです

アリスのままで
(鑑賞後の方向け)

アリスのままで 後説画像
makochin_review

 

 

 

監督の一人は
自身もALS(筋委縮性側索硬化症)
という難病を抱えていた
リチャード・グラッツァー。

ALSも進行するに従って
できていたことが
できなくなっていく病なので

本作の主人公には
共感する部分が
多かったのではないかと
推測できます。

そうしたこともあってか、
アリスの描き方が良く

(本作で数々の賞を受賞した
ジュリアン・ムーアの演技の
素晴らしさでもある)

作品の中に
涙を誘うためのモノ
としてではなく、
ひとりの女性として
ちゃんと存在していました。

また家族の側からの
描き方が良かったのも
本作の大きなポイント。

アリスのままでいられるかは
アリス本人だけの問題ではなく、

アリスのまま
コミュニケーションを続けていけるか
という
周囲の人間の課題でもあります。

完璧ではないけれど、
(そもそも完璧な人間など
作りモノにしか登場しません)
家族の思いやりに溢れたやり取りは

現実的で、共感もできたので、
物語に深く入り込むことができました。

pep_review

 

 

 

いかがでしたか?

パンフレットによれば、
R.グラッツァー&
W.ウェストモアランド監督は、
公私にわたるパートナー。

映画化の依頼を受けた時、
グラッツァーは
既にALS(筋萎縮性側索硬化症)
だと診断されていたそうです。

アリスが初めて病院で
診察を受けるシーンで
聞かれる数々の質問は、

グラッツァーが病院で受けた質問と
全く同じだったとのこと。

あまりにも自分たちの
辛い経験と酷似する内容に、
受けるべきかどうか悩んだ末に
引き受け出来上がった本作は、

不治の病の宣告を受けた
アリスと家族それぞれの思い、
そのどちらにも寄り添った

とても愛に満ちたやさしい
作品に仕上がっていました。

若年性アルツハイマーの
進行の早さに比例するように、

序盤はテンポ良く進み
中盤でのスピーチを境に
終盤にはテンポすら不確かになる。

それに呼応するような
アリスの病状を、
時に激しく時に絶望的に
演じたジュリアン・ムーア。

オスカー受賞に相応しい
演技だと思います。

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