この映画のチェットは、
常に何かに依存していないと
落ち着かない人間
として描かれています。
ドラッグや恋人、
何かに縋り付いていないと
ダメになってしまう。
ジェーンの愛が
自分から離れそうになると、
たちまち弱くなる姿など、
イーサン・ホークが
脆い人間を上手く
演じていました。
音は本当に
メンタルで左右されるものだと
わたしは常々思っています。
だからこそ、
“Over The Rainbow”が流れる
海辺のキスシーンは幸せすぎて
見ていて辛いんですよね。
一見
幸せな「ブルー」のなかに
悲しみの「ブルー」が
同居しているようで。
バードランドの
本番直前の楽屋のシーンでは、
ジェーンの言葉を思い出しました。
この作品のすべては
彼女の「もっと自分を信じて」
という台詞に詰まっています。
ドラッグの良し悪しは別として、
自分を信じられなかった
チェットがドラッグに頼って
納得する演奏ができるなら、
それもありなのではないか
とさえ思ってしまいました。