いかがでしたか?
本作は
逮捕されてからのエルザーと
犯行に至るまでの彼の生活の
2本の軸で物語が進んでいきます。
以前にご紹介した
『イミテーション・ゲーム』も然り、
このように時間軸を交差させる手法は
当事者の本質を見ることができるという
利点があります。
固定カメラで撮られた
目を覆いたくなるような拷問シーンは、
過去の楽しい日々との対比によって
より痛々しく映りました。
エルザ、ネーベ、ヨーゼフなど
エルザーの周囲の人間の描き方も丁寧で
国家という大きい権力に抗えない
人々の無力さを
思い知らされました。
爆破の被害者などが
一切描かれていないのは
惨事そのものよりも
善良な一般市民が
事件を企てたということ、
犯行に至らしめたのは
ドイツという国家であること、
を伝えたかったからでしょう。
ラストの銃声のあと
クレジットに出てくる
原題の“Elser”の文字に
胸が痛みます。