いかがでしたか?
あれだけ似ていれば
気付きそうなものですが、
過去を断ち切るためにも
ジョニーは気付かぬフリ、
というよりも
気付く自分を拒否していた
のかもしれません。
本作は赤が映える映画でした。
2人が再会する店
“Phoenix”の赤や、
ネリーのドレスの赤。
腕を見たジョニーの表情と
真実を知り歌い切る彼女の表情。
暗闇から登場するオープニングと
対比させたラストシーンで
その原題の意味がわかったとき
観客であるわたしたちは
「不死鳥」が光の中へ羽ばたく姿を
ジョニーと同じく
見つめるしかないのです。
またナチスものでありながら
その具体的描写なしに
ネリーの口によってのみ語られる
恐ろしい光景。
監督のセンスが光ります。
余韻を残すラスト、
観客のわたしたちに、
そしてジョニーにとっても
耳に残るは
ジャズの名曲“Speak Low”を歌う
不死鳥の鳴き声です。