特定の人物にフィーチャーした
ドキュメンタリー映画で陥りがちなのは、
製作者が
被写体である対象者に
「心酔し過ぎてしまう」こと。
対象者に「心酔」することは、
多くのドキュメンタリー映画にとっての
「製作動機」ですので、
むしろ「大切」なことではあります。
しかし、
その「心酔」が度を超えてしまうと、
途端に「客観性」に欠け、
作品としての「魅力」まで
失ってしまいます。
本作が良かったのは、対象者に
「心酔し過ぎない距離感」でした。
笹本さん・武野さんとも
大変著名なジャーナリストですから、
「英雄譚」で映画を構成する
こともできたはず。
しかしそうはせず、お二人の
「後悔」や「失敗」や「回顧」に
力点を置いた「庶民譚」
だったことに好感を持ちました。
また、タイトルから想起される
長寿の秘訣は?的な内容ではなく、
ご高齢の方にしか聞けない
戦時中の話が多かったことも
とても良かったです。