ayumi_review

 

 

 

この作品は
スティーヴン・フリアーズ監督が、
オペレッタを強く意識して
作ったと思われます。

オペレッタとは19世紀に
オーストリアやフランスを中心に
広まった歌劇のことで、

オペラとは違って
庶民向けに作られた喜劇が多く、
現在のミュージカルの
基盤となっています。

マダムがはじめに
人前で披露して笑われる曲、
『侯爵様、貴方のようなお方は
(Mein Herr Marquis)』

ヨハン・シュトラウスのオペレッタ
『こうもり(Die Fledermaus)』の楽曲で、

家に縛り付けられ、
歌手を夢見て外に出ることを望む
小間使が歌う曲です。

まさにマダムの状況と
似ていると思いませんか?

その他にも
・夫が浮気する
・奥さんが現れて隠れる
・第三者がその様子を見る
など

オペレッタで
よく使われるモチーフが
たくさん用いられていました。

フリアーズ監督は
かなりオペレッタに造詣が深いか、
研究を重ねて

この作品を作ったのでは
ないかと思います。

makochin_review

 

 

 

いかがでしたか。

自分が信じていた世界が
偽りだったという展開は
『トゥルーマン・ショー』
を彷彿とさせますね。

エンドロールに入る前、
フローレンスのレコードが大ヒットした
という事実が明らかになりますが、
その理由は分からなくもありません。

歌唱力の優劣とは別の次元で、
人々を惹きつけるものが
あったのでしょう。

それは
歌が下手だからこそな気がします。

つまり、
歌が上手ではないのにも関わらず、
楽しく堂々と歌い上げる
フローレンスの生き方が
魅力的にうつったのだと思います。

そこには恥じらいはありません。
レコードを購入した人々は
彼女のそういった生き方に
惹きつけられたのではないでしょうか。

そう言えば、
歌唱力の良し悪しが
音楽の魅力の全てではないことは、
私もロックなどを聴いて
既に知っていたことなのでした。

とはいえ、オペラは
技術力が多分に問われる
イメージがあったので、

本作が
そのジャンルでの実話
であるということが
やはり面白いですね。

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いかがでしたか?

メリルが演じる
フローレンスの劇中での歌唱力は、
オペラを歌うには
“かなり”技量が足りないのですが、

良いところまでは
“まずまず”歌えている
というもの。

実際の歌声をYouTubeで聴くと
(録音状況を差し引いたとしても)
頭から最後まで所謂”音痴”ですから、

“あえて”
こうしているのがわかります。

本作では彼女の歌声の
“再現”をしたかったのではなく、
劇中での”説得力”を
持たせたかったのでしょう。

つまり、
嘲笑の的だった彼女の歌声は
“技巧”とは別の次元で
人々に届いていたという
“説得力”。

「好きこそものの上手なれ」や
「一念岩をも通す」という諺が
表している”それ”です。

音楽というのは文字通り
“音を楽しむ”もの。

彼女はオペラが大好きで、
それを続ける財力にも
恵まれていた。

“好き”という気持ちに
“遠慮”のフィルターを
被せる必要がない。

彼女は誰よりも
“音を楽しん”だ。

“情熱”は
人の心を”動かす”のです。

投稿者 cinemactif

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