本作の監督・三島有紀子は、
安易な解決を提示しません。
ラスト、
主人公の精神的な成長が描かれ、
薫との和解の兆しを見せますが、
薫の顔は映さない!
赤子を見た薫の反応を、
観客の誰もが欲望したことと思います。
おそらく薫は
顔をほころばしていたであろうと、
私(マコチン)は
期待に近い想像をしているのですが、
カメラは主人公の笑みを
映すだけに留められるのです。
これには、
彼らが抱える問題が
決して解決したわけではないことを
印象づける狙いがあったと思います。
テーマに対する
三島監督の慎重な描き方に
とても好感を持ちました。
タイトルに“幼な子”とありますが、
これは登場人物全員を
言い表しているように感じます。
親と子という
立場の違いはありますが、
誰もが不完全な人間です。
同じように悩み、
時には間違ったこともしてしまう。
そういったフェアな
(というか現実に目を向けていれば当然の)
視点が本作にはありました。